骨太の方針2026を投資家目線で読む|政府が狙う17戦略分野と関連日本株

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2026年、高市政権の「骨太の方針2026」と日本成長戦略が示されました。今回、投資家として特に注目したいのが、政府が掲げる17の戦略分野です。

政府はこの17分野に含まれる62の「主要な製品・技術等」を対象として、官民による「危機管理投資」と「成長投資」を進める方針です。その想定投資規模は、重複分を除いて2040年度までの累計で370兆円超。かなり大きな金額です。

「政府はこれから、どの産業にお金を向けようとしているのか?」
投資家目線で17の戦略分野と、そこから考えられる関連日本株を整理してみました。

※この記事で紹介する企業は、政府が投資対象企業として指定しているわけではありません。各社の事業内容から、政策テーマとの関連性があると筆者が判断した銘柄です。

政府が掲げる「17戦略分野」

まずは全体を見てみましょう。

No. 戦略分野 主なテーマ
1 AI・半導体 半導体、領域特化型AI、フィジカルAI
2 デジタル・サイバーセキュリティ データセンター、クラウド、DX、サイバー対策
3 情報通信 APN、海底ケーブル、5G・6G
4 量子 量子コンピューター、量子通信、量子センシング
5 防衛産業 無人機、艦艇、デュアルユース技術
6 航空・宇宙 航空機、ドローン、ロケット、人工衛星
7 海洋 海洋ドローン、海洋監視、海底開発
8 造船 次世代船舶、船舶修繕、LNG運搬船
9 マテリアル 重要鉱物、グリーン鉄、新素材
10 合成生物学・バイオ バイオものづくり、バイオ医薬品
11 創薬・先端医療 新薬、再生医療、先端医療機器
12 資源・エネルギー安全保障・GX 太陽電池、水素、地熱、洋上風力、原子力
13 フュージョンエネルギー 核融合発電
14 防災・国土強靱化 防災技術、インフラ更新・強化
15 港湾ロジスティクス 港湾荷役、物流DX、物流自動化
16 フードテック 植物工場、陸上養殖、食品機械
17 コンテンツ ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、映画

こうして見ると、防衛や半導体だけではありません。通信、医薬品、エネルギー、鉄鋼、造船、ゲームまで非常に幅広い。政府が日本の産業構造そのものを強化しようとしていることが分かります。

2040年度まで「370兆円超」の官民投資

今回かなり驚いたのが、その規模です。17分野・62の主要製品・技術について、政府が示している官民投資の想定規模は、重複を除いて2040年度まで累計370兆円超。もちろん、370兆円すべてが政府予算という意味ではありません。民間企業による設備投資なども含めた「官民投資」です。

17戦略分野62の主要製品・技術累計370兆円超
製品・技術 2040年度までの想定官民投資
半導体 約68.0兆円
クラウド・データセンター・蓄電池等 約32.7兆円
ゲーム 約24.5兆円
新薬等 約23.4兆円
バーティカルAI 約23.1兆円
バイオ医薬品・再生医療 約20.8兆円
次世代ワイヤレス(5G・6G等) 約20.5兆円
バイオものづくり 約12.8兆円
先端医療 約11.6兆円
フィジカルAI 約10.5兆円
量子コンピューティング 約10.3兆円

やはりAI・半導体・デジタルインフラへの投資規模が大きいですね。一方で「ゲーム24.5兆円」というのも個人的には興味深いところでした。

17戦略分野から考える関連日本株

では、この政策を日本株に置き換えると、どんな企業が考えられるでしょうか。

戦略分野 関連銘柄例
AI・半導体 東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)、ルネサス(6723)
デジタル・サイバー NTT(9432)、NEC(6701)、さくらインターネット(3778)
情報通信 NTT(9432)、NEC(6701)、富士通(6702)、住友電工(5802)
量子 富士通(6702)、NEC(6701)、NTT(9432)、浜松ホトニクス(6965)
防衛 三菱重工(7011)、川崎重工(7012)、IHI(7013)、三菱電機(6503)
航空・宇宙 三菱重工(7011)、IHI(7013)、川崎重工(7012)、ispace(9348)
海洋 川崎重工(7012)、三井E&S(7003)、古野電気(6814)
造船 名村造船所(7014)、三井E&S(7003)、ジャパンエンジン(6016)
マテリアル 日本製鉄(5401)、JFE HD(5411)、住友金属鉱山(5713)、信越化学(4063)
合成生物学・バイオ 味の素(2802)、カネカ(4118)、富士フイルムHD(4901)
創薬・先端医療 中外製薬(4519)、第一三共(4568)、武田薬品(4502)、テルモ(4543)
資源・エネルギー・GX INPEX(1605)、ENEOS HD(5020)、積水化学(4204)、日本製鉄(5401)
フュージョン 三菱重工(7011)、IHI(7013)、三菱電機(6503)
防災・国土強靱化 鹿島(1812)、大林組(1802)、大成建設(1801)、コマツ(6301)
港湾ロジスティクス 三井E&S(7003)、ダイフク(6383)、日本郵船(9101)
フードテック クボタ(6326)、レオン自動機(6272)、マルハニチロ(1333)
コンテンツ ソニーG(6758)、任天堂(7974)、バンダイナムコHD(7832)、東宝(9602)

※あくまで事業内容から考えた「関連銘柄候補」です。政府がこれらの企業への投資を決定しているという意味ではありません。

面白いのは「複数分野にまたがる企業」

今回調べていて、私が一番面白いと思ったのはここです。一つの政策テーマだけを見るのではなく、「17戦略分野のうち、複数にまたがっている企業はどこなのか?」という見方です。

三菱重工(7011)

防衛 + 航空・宇宙 + フュージョン + エネルギー

今回の成長戦略との重なりが非常に大きい企業です。防衛、ロケット、原子力、エネルギーなど、日本政府が強化したい分野のかなり多くに関わっています。ただし、政策テーマとして注目されていることと「現在の株価が割安」ということは別です。そこは分けて考えたいところです。

NTT(9432)

AI + データセンター + 情報通信 + 量子

個人的にはNTTも面白いと思いました。AIそのものだけではなく、AIを動かすためのデータセンターや通信インフラ、さらにIOWN・APNや量子技術まで関係してきます。AI時代の「道路や電力網」のような部分を担う企業と考えることもできます。

日本製鉄(5401)

マテリアル + GX + 経済安全保障

政府資料では「グリーン鉄」についても大規模な官民投資が想定されています。GXというと太陽光や風力発電を思い浮かべますが、鉄鋼業の脱炭素も巨大な投資テーマです。

三井E&S(7003)

造船 + 海洋 + 港湾ロジスティクス

こちらも複数テーマにまたがります。日本の造船産業強化に加えて、港湾荷役機械や物流自動化などにも関係します。造船復活と港湾DXを一緒に見ることのできる企業です。

私なら、まず「5つの大テーマ」で見る

17分野全部を毎日追いかけるのは大変です。そこで私は、投資家として大きく5つにまとめて見ていこうと思います。

① AI・半導体・データセンター東京エレクトロン、アドバンテスト、NTTなど。投資規模から考えても今回の成長戦略の中心です。
② 防衛・航空宇宙三菱重工、川崎重工、IHIなど。日本政府の政策だけでなく、世界的な防衛需要の拡大もあります。
③ 造船・海洋・港湾名村造船所、三井E&Sなど。日本がかつて世界で圧倒的に強かった造船産業を、もう一度強化しようという動きです。
④ GX・エネルギー・素材日本製鉄、JFE、INPEX、積水化学など。脱炭素だけでなく、エネルギー安全保障という視点も重要になっています。
⑤ 通信・量子・デジタルインフラNTT、NEC、富士通など。AIが普及すればするほど、その裏側にある通信網・データセンター・計算基盤の重要性も高まります。

ただし「国策銘柄=買い」ではない

ここは注意が必要です。政府が力を入れる産業だからといって、関連企業の株価が必ず上昇するわけではありません。むしろ人気テーマの場合、政策が発表された時点ですでに株価へ織り込まれている可能性もあります。

見るべきなのは、次のような点でしょう。

  • 政策支援が本当に企業の売上・利益につながるのか
  • 受注が増えているのか
  • 利益率は改善するのか
  • 競争力はあるのか
  • 現在の株価は割高ではないのか

つまり、「政策テーマを知ること」は銘柄探しのスタート地点。そこから業績や株価を調べていく必要があります。

まとめ|日本政府が「どこにお金を向けるのか」を知っておく

高市政権の骨太の方針2026と日本成長戦略を投資家目線で見ると、日本政府が今後どの産業を育てたいのかがかなり見えてきます。

17の戦略分野。
62の主要な製品・技術。
2040年度まで累計370兆円超の官民投資。

個人的には、AI・半導体、防衛・航空宇宙、造船・港湾、GX・素材、次世代通信の5分野を継続して見ていこうと思います。

そして今回もう一つ気になったのが、「複数の戦略分野にまたがっている企業」です。三菱重工、NTT、日本製鉄、三井E&Sなどを見ていると、日本政府が描いている成長戦略の方向性がかなり分かりやすく見えてきます。

次はこの17分野の中から、「政策期待は大きい。でも、まだ株価には十分織り込まれていない銘柄はあるのか?」という視点でも調べてみたいと思います。

※本記事は公開資料をもとにした個人的な情報整理であり、特定の金融商品・銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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